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Wi-Fiチャネル状態情報を用いたバイタルセンシング

本研究では市販のWi-Fiデバイスを用いて一定空間にいる人の生体情報を非接触で取得するセンサの開発を行っている。一般的にWi-Fiはデータ通信に用いられることが多いが、本研究では物理的な電波として扱い、得られるチャネル状態情報を解析することで様々な生体情報の推定を可能にしている。本研究で行っているのは「呼吸数、心拍数、体動からの睡眠段階推定システム」「完全非接触血圧推定システム」「屋内位置情報推定システム」と大きく3つに分けられる。睡眠段階推定システムでは、約99%での呼吸数、心拍数の推定と高精度且つ追従性の高い体動の推定を可能にしている。また屋内位置推定システムでは、Wi-Fiの狭い帯域幅が障壁となり電波伝搬時間(ToF)を正確に推定することが出来なかったが、フレネルゾーンを用いることでこの制限を突破することが可能となった。

Kazuya Tsubota, Yuki Nagatsu, Hideki Hashimoto, “Biometric Information Acquisition System Using VMD in Wi-Fi Channel Status Information,” IECON2021-47th Annual Conference of the IEEE Industrial Electronics Society
志賀駿也, 坪田和也, 長津裕己, 橋本秀紀, “Wi-Fiチャネル状態情報を用いた人の屋内位置推定システムの検討”, ロボティクス・メカトロニクス講演会2022 in Sapporo

カメラを用いた非接触心拍数・血圧推定

近年では、ウェアラブル端末から心拍数を測定できるようになった。しかし、依然として接触型であり、その不快感から睡眠時への適用が難しく、非接触型が好まれる。そこで、本研究は市販の赤外線カメラを用いて、人の心拍数を非接触かつリアルタイムで推定するシステムの開発を行っている。一般的にカメラを用いた心拍数測定では、皮膚表面の微小な色変化を観察する。しかし、呼吸等により生じる無意識な体動ノイズにより、正確な推定は困難である。そこで、複数のフィルタを組み合わせた信号処理を用いることで精度の向上を実現した。本研究は赤外線カメラを用いるため、睡眠時に適用可能であり、睡眠状態の判定などに用いることができる。

心拍に加え血圧もまたバイタルサインの一つであり、その測定は重大な意義を持つ。非拘束の血圧推定研究をカメラによるセンシング技術と機械学習を用いた推定の研究を行っている。既存研究では映像から取り出した脈波の特徴パラメータを抽出し、回帰学習を用いて血圧を推定していたが、この手法は脈波に外乱が乗りやすい為、SNRを高めるためにDistance PPGを脈波抽出過程に用いた。これらの研究は非医療現場等での測定利便性向上につながることが期待できる。

Keisuke Terai, Yuki Nagatsu, Hideki Hashimoto “ Improvement in Noncontact Heart Rate Measurement Accuracy via Infrared Camera Considering Body Movement During Sleep ”, Sensing, Actuation, Motion Control, and Optimization (SAMCON2022) 2022.3, Saitama(Online), p.173-178
Keita Hirano, Keisuke Terai, Yuki Nagatsu and Hideki Hashimoto, “IPPG BP Estimation Model Considering Hydrostatic Pressure”, 2022 IEEE 4th Global Conference on Life Sciences and Technologies, 2022.3, Osaka, Japan,(online), pp.361-365

容量結合型電極とマイクロ波ドップラーセンサを組み合わせた非侵襲型心電情報計測システムの開発

容量結合型心電計測システムでは、衣服を着用した状態でも 心電図のセンシングが可能であるため、より多くの生理情報を被験者から取得することが可能である。しかし、容量結合型心電計測システムにもデメリットが存在する。例えば、センシング環境が限定的な空間 に制限されてしまう事や、衣服の着用枚数や種類などによってセンシングの精度が悪化してしまう事である。これらに対して、マイクロ波ドップラーセンサを用いた心拍のセンシングシステムでは、被験者の外的要因に対しても精度よくセンシング可能であることが報告されている。本研究では、容量結合型心電計測システムの性能を向上させるとともに、マイクロ波ドップラーセンサを用いた Heart Rateセンシングシステムを設計し、単一のセンサのみではセンシング不可能な範囲において、2 つのセンサをフュージョンさせることで、欠損している生理情報の取得を行うことで被験者の測定可能領域の拡充を達成する。

Keita Sado, Yusuke Deguchi, Yuki Nagatsu, Hideki Hashimoto “Development of Magnetic Absolute Encoder Using Eccentric Structure : Improvement of Resolution by Multi-Polarization” IEEE/ASME International Conference on Advanced Intelligent Mechatronics 
Ryoto Fujita,Yuki Nagatsu,Hideki Hashimoto, “Proposal of a Method for Non-Contact Electrocardiogragh Measurement System by Sensor Fusion”, Sensing, Actuation, Motion Control, and Optimization (SAMCON2022), 2022.3, Saitama(Online), p.173-178

筋電位による歩行時の影響を考慮した無声発話認識

近年, 音声認識システム・スマートフォンの発展に伴い, 家電などをリモートコントロールする技術に注目が集まっている. また, 非接触型入力方式を用いたコミュニケーションは, 感染症などによるパンデミック時の対策としても有用であるが, 発話を伴うことやマスクを外す必要があるなど対策として課題がある. そこで筋電位センサを用い, 声を発さずに発話内容を認識することにより, 使用する人にも依存しない, 場所による制限もないコミュニケーションが可能となる. 本研究では, 従来法では困難な歩行した状態での発話内容の認識に着目し, この時に受ける体動を除去する手法を提案する. これにより, 日常生活のどの場面においても使用が可能となる.

池田弘樹, 大平峻, 橋本秀紀, “筋電位による歩行時の影響を考慮した無声発話認識”, 第23回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会, 3A2-A14, 2022.12,